一般社団法人錦江会
理事長 澤井 正志
この度は、錦江会ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
本会は築城400年を超える明石城内に、明治30年(1897)4月に創設された兵庫県簡易農学校が創立となる兵庫県立農業高等学校の同窓会組織「一般団法人錦江会」であります。兵庫県農学校(明治32年4月)、兵庫県立農学校(明治34年4月)と校名を変えながら、校友会が組織されました。 大正8年(1919)に校友会の名称を兵庫県立農学校「錦江会」と改め、127年の歴史と伝統を守りながら現在会員数も3万人に及ぼうとしています。また、昭和8年5月「社団法人錦江会」として認可を受け、その後、平成24年4月法改正により「一般社団法人錦江会」へ移行認可を受け、現在に至っています。
母校は大正11年に明石城内から現在の東加古川の地に移転し、全日制に7つの農業学科と定時制に普通科をもつ併置校として存続し、地域の方々から「県農」と称され、多くの方々から愛される学校として君臨しております。在校生はそれぞれの専門的技術の習得に励み地域社会を担う人材として育っています。まさしく、本会の目的であります農業の振興と地域社会の発展に寄与する使命を在校生たちは果たしてくれています。卒業生たちも会員相互の親睦を図るとともに、兵庫県立農業高等学校の教育を助成振興することによろこびを感じ、同時に農業の振興と地域社会の発展に寄与することを目的に活動を続けております。
時代は変われども人と人との関わりは永遠に続いていきます。親から子、子から孫そして未来へと続く繁栄のようにこの錦江会も永遠であってほしいと願います。終わりに、錦江会会員の皆様には更なる同窓の絆を固めるため、会員一人一人の努力の積み重ねをお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
過去から未来へとつなぐ教育の実践
〜未来を生きる人々とも分かち合う心を育む〜
兵庫県立農業高等学校
校長 村中 利章
兵庫県立農業高等学校同窓会「錦江会」の皆様には、本校の教育活動に多大なるご支援とご協力を賜り、心から厚くお礼申し上げます。
令和6年度、兵庫県立農業高等学校の校長として着任した村中です。農業教員と教育行政職員として36年の長きにわたり兵庫県に奉職し、ようやく、県農に勤めることができました。
全日制では全国でも最大規模を誇る7つの農業学科を有し、定時制では1学年あたり普通科3クラスを有する県農は、私にとって憧れの学校でありました。創立127年目を迎え、県下でも有数の歴史と伝統を持つ県農へ赴任できたことに、喜びを感じるとともに身の引き締まる思いです。
これまでのコロナ対応と農政の事業見直しの中で、実施を見合わせていたブラジル研修もようやく再開することができ、本校から4名の生徒が参加します。また、本校独自に実施するニュージーランド農業研修では、16名が姉妹校であるフレーザー高校を訪問します。30年前には20名もの生徒が、南半球へ農業研修に行くことなど想像もできなかったことでしょう。
これもひとえに、農政と農業教育が一体となって取り組んできた成果であり、同窓会活動に関わる皆様のご支援があってのことと、感謝しております。
その一方で、ウクライナとロシアをはじめとした国際情勢の混乱が、為替相場を不安定なものとしています。
その結果、エネルギーや資材の高騰を招き、更には農業の後継者不足から、10年先、20年先、30年先の食糧生産は、決して楽観視できるものではありません。
2050年には、世界の人口が97億人に達すると予測されています。30年後には世界で100億人の食糧の生産が求められていることでしょう。
今、県農で学ぶ生徒たちは、その時代に農業経営者として、あるいは技術者として活躍している者も出てきてくれることを期待しています。
2050年には、食糧生産の重要性が極めて高まることは明白であります。その生産に適した農地も海洋も、この日本には国民の食糧を支えるに足りる国土を有しています。そこで、農業に関わる者には、単に利益を追求するだけでなく、分かち合う心を持った人となれるように育てていきたいと考えています。
分かち合えば足るものを、奪い合えば争いになる。互いの正義と正義がぶつかり合えば、やがて戦争になる。
このことを、私達が肝に命じる必要があります。 日本国憲法の前文には、『われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。』と書かれています。
農業は、結果が出るまでに長い時間を要します。ましてや、その教育となると更なる時間が必要となります。
30年後に生きる人々のためにできること。それは、『今を生きる私達が、未来を生きる人とも、分かち合う心を育てていくこと』だと思います。
これまで、「錦江会」の皆様は、同窓の皆様との絆を大切にされ、更に未来を生きる後輩のために、分かち合う心を大切にしてこられました。
私は、諸先輩方が大切にしてこられた、「分かち合う心」を引き継ぎ大切にすることで、生徒たちに未来を生きる人とも、資源や食糧を分かち合う心を育てていきたいと考えています。
どうか、同窓会の皆様におかれましては、これからも母校「県農」の発展、在校生の活躍を期待していただき、温かく見守っていただきますようお願い申し上げます。